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猫好き研究者の日々雑感

舛添都知事の政治とカネの問題についての海外メディアの反応

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舛添要一東京都知事の政治とカネの問題は、東京都議会での集中審議を経ていよいよ大詰めを迎えてきました。

政治とカネの問題はいつの時代・どの国でも起きている問題ですが、今回は問題が起きた後の都知事の対応に対しても厳しい批判が高まっています。

そんな厳しい世論を背景に都知事に辞任を迫る包囲網が狭まってきたことで国内のニュースは持ちきりですが、この問題は海外ではどのように報じられてきているのでしょうか?

6月14日朝時点でオンラインでも見られる記事の中から、欧米の大手メディアで報じられているものを例に見てみたいと思います。

 『Mere salary cut not enough to dispel scandal around Tokyo Gov. Masuzoe』
(6月11日 シカゴ・トリビューン*)

こちらは同日付のジャパンタイムズ紙と読売新聞ジャパンニュースの「給与の(一部)返上だけでは舛添東京都知事の疑惑は晴れない」と題した英語記事を転載する形で掲載された記事です。

都知事が第三者とした弁護士が作成した報告書に残る疑問点を挙げ、「Lack of Teeth(厳しさに欠ける)」という慣用表現でその限界を指摘しています。さらに、都知事が給与の返上と別荘の売却などで問題の幕引きを図ろうとする姿勢を「舛添は問題がどこにあるのかを未だに理解していないのではないか?」と厳しく問う言葉で記事が締めくくられています。

(*シカゴ・トリビューン紙は、アメリカ第3の人口を持つシカゴを中心にアメリカ北部の五大湖地域で最大の日刊紙。発行部数におけるアメリカ8大紙の一つ)

 

『Tokyo governor apologizes for using funds for holidays, art; won't quit』
(6月6日 ロイター*)

東京都知事が政治資金を休暇や美術品に使用したことを謝罪、しかし辞職せず」と題されたこちらの記事では、第三者とされた弁護士の作成した報告書を受けて同日に都知事が行った謝罪会見について書かれています。

その中で、都知事自らが選んだ弁護士が多くの事案に関して「違法ではないが不適切」と繰り返したことが、都民・国民の怒りに火に油を注ぐ結果となったと指摘しています。また、今回の都知事のスキャンダルが、ロゴやスタジアムの問題ですでに混乱をきたしている2020年の東京オリンピックに向けた準備にさらなる影を落とすと指摘しています。

(*ロイターは、ニューヨークに拠点を置く世界最大規模の通信社)

 

『Governor of Tokyo apologises for lavish spending』
(6月1日 ガーディアン*)

東京都知事が贅沢な浪費を謝罪」と題したこの記事では、4月に明るみに出た公用車での別荘通いに端を発する都知事の一連の不適切な支出の疑惑によって、舛添都知事が謝罪を行った旨が報じられています。

高額な海外出張費の問題に関しても、「昨年の20人の都庁職員を伴ったロンドンとパリへの出張では都知事がファーストクラスを使用しラグジュアリースイートに宿泊した結果、5千万円(32万ポンド)が都民の税金から支出された」ことを具体的に挙げて指摘しています。

(*ガーディアン紙は、ロンドンに拠点を置く日刊の高級紙)

 

この他、日本の英字新聞であるジャパンタイムズや国内全国紙の英語版などでも、今回の舛添都知事の政治とカネの問題に関するニュースは海外に向けて報道されています。

ただ、これまでのところ、海外メディアでのこの問題の扱いはあまり多くない印象です。それでも今後、都知事の辞任や不信任案可決となった場合には、海外メディアでも大きく報じられることが予想されます。

こうした一連の問題が海外のメディアで報道されるのは、東京都民だけでなく、日本国民としても残念な限りですが、当事者である私たち日本人がこの問題について海外からどのように見られているかをきちんと知っておくことは大切なことだと思います。