【2016年7月22日時点】 世界の核兵器数・核保有国一覧
2016年5月末にアメリカのオバマ大統領が広島を訪問したことは記憶に新しいところです。人類史上初めて核兵器を開発し、戦争の中で広島と長崎に実際に核兵器を使用したアメリカの現職の大統領が、71年の時を経て被爆地を訪れました。
しかし71年の間、アメリカとソ連の間では激しい冷戦が繰り広げられ、1980年代中旬には核弾頭の数が7万発を超えました。
そして冷戦が終結して四半世紀が過ぎた現在でも、世界には15,000発以上の核弾頭が存在しています。
「核兵器」と「核弾頭」の違い
核兵器の数は多くの場合、核弾頭の数で数えられます。
核弾頭とは、核兵器を運ぶ方法の一つであるミサイルの先端部分に載せる核兵器の弾頭です。同じミサイルでも、核兵器ではなく爆薬などを積んだものは通常弾頭と呼ばれます。
71年前に開発され広島と長崎に投下された原爆はgravity bombと呼ばれる重力による自由落下型の爆弾でした。こうした爆弾は大型になるため、それを積むことのできる大型の爆撃機で投下地点の上空まで運んで落下させる方法で攻撃を行います。運搬方法としては単純なので運用しやすい反面、目標に対して精密な攻撃を行うことはできません。
そこで、戦勝国は第二次大戦中にナチス・ドイツが開発したV2ロケットの技術を踏まえてミサイル兵器の開発を行いました。遠距離からより精密な攻撃が可能となるミサイルに搭載するために核弾頭の開発が進められました。
現在でも、核兵器の運搬手段には、ミサイルと爆撃機が使われています(これ以外に大砲から打ち出す核砲弾なども開発されましたがあまり運用はされませんでした)。
世界の核弾頭数の移り変わり
1945年にアメリカが初めて核兵器を開発したのに続き、1949年にソ連が、1952年にイギリスがそれぞれ核兵器を開発しました。これら3カ国に遅れ、1960年にフランスが、1964年に中国が核兵器を開発しました。核兵器の開発に各国がしのぎを削った1950年代後半から1960年代中頃にかけての間に、世界の核兵器の数は一気に増加しました。
世界の核弾頭の数は1960年代後半には4万発を超え、1986年には70,300発と核弾頭の数がピークを迎えます。やがて冷戦が終結に向かう中でアメリカとソ連が核弾頭数を減らしたことで、1990年代中頃には再び4万発を下回り、2010年代には2万発まで削減がなされました。それでもなお、2016年7月末の時点で約15,500発の核弾頭が存在しています。
核保有国別の核弾頭数(2016年7月22日時点)
ロシア 約7,300発
・うち約2,800発はすでに退役して解体待機中
・うち約1,648発は弾道ミサイルに搭載されて配備中
アメリカ 約7,100発
・うち約2,500発はすでに退役して解体待機中
・うち約1,538発は弾道ミサイルに搭載されて配備中
フランス 約300発
・うち約280発が配備中(2016年5月26日時点)
中国 約260発
・配備状況については不明
イギリス 約215発
・うち約120発が配備中
パキスタン 約110~130発
・配備状況については不明
インド 約100~120発
・配備状況については不明
イスラエル 約80発
・配備状況については不明
北朝鮮 約8発
・配備状況については不明
核弾頭数データ等の出典
・"Nuclear Weapons: Who Has What at a Glance". Arms Control Association. July 22 2016.
・"Status of World Nuclear Forces". Federation of American Scientists. May 26 2016.