地球儀500年の歴史
地球儀は転がしているだけで世界の様々な国に思いをはせることができます。地図よりも国の大きさや距離が分かりやすく、地球儀を回していろいろな角度から眺めると世界を毎回違った表情で見ることができます。
今では当たり前のように家庭や学校に置かれている地球儀ですが、いつから現在のような形となり世界に広がってきたのでしょうか?
地球儀の起源
世界で初めての地球儀は、紀元前3世紀ごろにギリシャの天文学者によって作られたと考えられています。
その時代のものの一つが、現在のトルコ南部にあたるキリキアという地域のマロスのクラテスというギリシャ文法学者が紀元前2世紀ごろに作成した地球儀と言われています。
現存する世界最古の地球儀
現存する最古の地球儀は、15世紀のものです。1491年から1493年の間にドイツの古都ニュルンベルグで商人であり地図職人でもあったマルティン・ベハイムが作成した地球儀「erdapfel (earth apple)」が最古のものと言われています。
現在はニュルンベルグのゲルマン国立博物館(Germanisches Nationalmuseum)に所蔵されており、近年になって地球儀のデジタル画像が作成されました。当時の地図に基づいて作られたため、まだ発見されていなかった南北アメリカ大陸は描かれておらず(コロンブスが新大陸の端にあるサン・サルバドル島に到達したのが1492年)、その代わりに東の果てに大きなジパング(日本)が描かれています。
その後、新大陸が描かれた最古の地球儀は、1504年に製作されたと考えられているものです。ダチョウの卵の下半分を2つつないで作られたもので、2012年に発見されました。
また、1507年にはドイツの地理学者であるマルティン・ヴァルトゼーミュラーが初めてアメリカと表記された地球儀の展開図を作成しています。
1500年代後半には、オスマントルコがイスタンブールに築いた天文台などでも地球儀が製作されるようになりました。
地球儀の製作方法
時代とともに地球儀の作り方も変化してきました。
現代のようにコンピューターを用いた精密な技術がなかった時代からもっとも一般的であったのは、紙の地図を細長い三角形の形に展開したゴアと呼ばれるパーツを球体に貼り合わせていく方法です。平面の地図をこの形で切断したものを貼り合わせることで、簡単に球体の地球儀を作ることができます。
世界最大の地球儀
地球儀が誕生してから500年が経ち、現在では様々な地球儀が開発されています。その中で、現在世界で最大の回転する地球儀は、アメリカ最東北部に位置するメイン州のヤーマスという町にあります。衛星技術企業であるデロルム社の本社内に置かれた「Earth」という地球儀で、なんと約2500kg、直径12.53mという超巨大サイズです。この地球儀は世界最大のものとして1999年にギネスブックにも登録されています。営業時間内は一般にも公開されているそうで、実際に目の前で見るとその大きさに圧倒されそうです。